気がつけばもう30代後半であまり若いとは言われない年齢になっていた。

親からは結婚の話をされて孫の顔がどうだとか言われるようになってしまっていた。

しかし、親の期待とは裏腹に僕には現在付き合っている女性はおらず、最後に彼女がいたのは21歳の時だった。
彼女と別れてしまった理由としては、男としては頼りなかったのか金銭扱いが悪かったからかそんな事を言われてフラれてしまった。

当時は大学を卒業したての新社会人でしかも1年余りで勤務先を辞めてから職を転々と変えてフリーター生活を送っていた。そんな僕はデートへ行っても食事代は割り勘で彼女の欲しがっている物を何１つあげられなかった。

記念日や誕生日など何かしらのイベントには無頓着でよく彼女を怒らせていた。

そんな事が続く度に僕も彼女に嫌気をさしていて、そんなタイミングで彼女から別れを告げられたのであまりショックはなく、むしろ解放感で満たされた。それ以来彼女はおらず現在は勤め先であるプラスチック製品を扱う工場と自宅を行き来した生活を送っている。
20歳前半の頃とは違い貯蓄をし、親に渡す食費分以外は自分の為にお金を使っている。

浪費癖がある訳ではなく週刊誌や漫画を買ったり、週末に居酒屋へ友人と飲みに行く程度の出費があるだけだ。

現在の年齢も当てはまるのもあるが、女性は奢ってもらって当たり前と思う方が多いと感じていて、彼女が出来るとお金がかかると思うとゾッとしてしまうのが自分の本音なので、彼女は欲しいと思わないのだ。

親には悪いと思っているけど、もう少し独身生活を充実させたい今の僕には彼女や嫁さんなんてまだ必要ないのだ。